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罪咎
眩暈によろめいた体を自らの左手が鉄格子に繋ぎ止めた。
「……死者を蘇らせることは……」
暗い監房の中でオウラの声が幻の余韻を搔き消すように響く。
ジークは呼吸の浅さを隠すように左肩に顔を向けた。
「負の契約をもってしても叶わない。アルクードは……」
背けた顔が苦し気に顰められる。
「偶然の繋がりを持った母子を生贄に、負の契約を用いて、そのままでは失敗に終わるはずだった裂心術の成功を願った……」
「……」
「インがそれを聞き入れたことにより、間一髪でお前は蘇生し、拡大した霊器を手に入れた……」
ジークの目線がオウラの美貌に流れた。
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