罪咎

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「それでも……神術師として、恐らくは自分の能力の限界を感じていたのだろう。たとえ霊器を拡大したとしても、その後充分な霊力を満たせるとは思えなかったから、お前に 霊器を拡大させて希望を繋ぐことを考えた。だが、結果は、お前の方のみがインに受け入れられなかった。その場合の覚悟はしていたのだろうが……。……潔癖なアルクードが、はじめからお前の蘇生に失敗した場合には母子を生贄にしようなどと腐った目論見を持っていたとは思えない。だが、拍動が止まった時のお前の様子が自分の時とは違うことを感じ、インに願いを聞く意志がないことを察知して……。……心臓の機能が創傷で損なわれ、失血していた状態だからな……。神術を使っても回復は見込めなかっただろう。救うには裂心術の成功しかないことは明白だった。心肺の蘇生は一刻でも早い必要がある。その究極の状況下で……アルクードは、お前まで失うことに耐えられなくなったのだろうな」 「……」
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