執心

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「ああ。地上のあらゆる生物の生気が寄り集まった気結には多大なエネルギーが渦巻いていて、そこに混在した、主に人間の思念が偏向したエネルギー放出を促す。それは人間の本能であるところの権力欲に基づくものだ。人間が奇跡の力を超越的な存在に願い求める心にその権力欲が反応して、不可能を可能にする、気結に渦巻く力を一時的に供給するシステムが、所謂契約なんだ。絵的には落雷の図を想像すると分かりやすいかもな……」 「人に雷が落ちるような感じで、力が降りてくるの?」 「飽くまで絵的には、だが、そんなようなものだ。気結は雷雲のようなものか」 「けんりょくよくって、何で関係あるの?」 「奇跡の力を人間に与えることによって、気結は人間の上に立つ存在になる。それによって満たされる構図が見られるから、権力欲が関係していると思われているんだ。人間一人一人が持っていた欲を人数分倍にして持ち合わせている"イン"は権力欲の権化ともいえる……」 「……」
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