執心

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「気結の存在を知った人間がそれを擬化し、名までつけたのも無理からぬことだが……その神の正体は結局、人間から生まれた支配欲の化身ということだ」  ディーチェは不可解な言葉を聞いた様子で顔を上げた。 「神……?神って、どういうこと……?インはインだよ」 「……。……そうか。他の地との交流の少ない時期に生まれた故か……。神という概念は、知らぬのだな……」 「神って、何なの……?」  オウラは(うつ)し世が全て虚空にすり替わったかの如き視線を少年に向けた。 「知る必要もなかろう。インの存在が意識に組み込まれた者に本義が理解できるとは思えん」 「……」  ディーチェは捨てられた子犬のような顔をした。  妙に幼稚っぽく、その頼りなげな様に(かな)しさを覚えさせる表情だ。
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