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「なんか、君、変わったよね……。昔は感情の幅が広かったのに。何よりもっと可愛かったよね、昔は」
ジークは一瞬言葉を失った。
「……いつの話ですか……」
「僕とよく遊んでた頃。四歳くらいの頃かな」
ジークは呆れたような表情のまま固まっていた。
「それは、誰でも変わるだろう」
「うーん、それにしても、今は暗……あ、いや、うん。ねぇ?」
ねぇ、と言われても。
「やはり、そろそろお暇させて頂きます」
もううんざりだと言わんばかりにジークは立ち上がった。
「 余計なこと言っちゃったかな……」
エスターは椅子から立とうとした。
「そのままで結構です。では番の方は今日の夜に直接収容所に行けばよろしいですね」
「交代時間は知ってる?」
「 ええ。では失礼します。お茶をご馳走様でした」
部屋を去ろうとしたジークは、呼び止められて振り返った。
エスターは 遠慮深げに言葉を送る。
「……あの、神術のことだけどさ。健闘を祈るよ。僕ら皆の問題なのに祈るしかできないなんて、情けないというか、 図々しいことだけどさ。でも 、もし何か協力できることがあったなら、遠慮せずに言ってきてほしい。力になるのが当然だからね」
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