変貌

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「なんだいこれ。人形、陶器、口紅……変なもんが缶詰になってんだな。お、ここらじゃ食えない 果物もある。色々あるんだな」 「ええ、それはもうね。私達は文化の触れ合いを運んでるんですから」 「 こんな時世に色々な土地を巡るのは、儂等のように奇特な行商人だけ。だったら、沢山の人に、沢山の土地の匂いを振りまく儂等を通して、お互い交流してほしいのさ」  老夫はニタッと笑うと、荷車の端を掴んで背伸びしていた幼女に左手で菓子の缶詰を手渡した。幼女の顔が輝くと、彼はその手で小さな頭を撫でた。
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