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二週間後
「今から飯能を迎えに行ってきます」
「繊細くん、送迎が板についてきたじゃないか!」
「店長、別に何も起こらないしやめてもいいですか」
何か起きないのが一番だろう、と店長に嗜められるが、僕は何かあっても飯能なら僕の力なんか要らないと思っている。
「まぁ、毎回送り迎えしてもらうのも大変だからね。今日までにしようか」
僕の渋い顔に負けたのか店長が折れたらしい。少しだけ、ホッとした。
(飯能と一緒に居ると変な感じがする)
まるで自分が自分でない何かに作り変えられてしまうような、そんな怖さが飯能にはある。僕は鞄の中にクリーニング屋に綺麗にしてもらったウィッグ付きの帽子を入れた。特殊な形状のため思ったよりも時間がかかってしまった。
「じゃあ、行ってきます」
少し早めに着いた公園からは、校門で飯能が友人達に囲まれている姿が見えた。
(賑やかだ)
たまに勘違いしそうになるが、飯能は本来あちらの人間だ。
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