プロローグ

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 静寂を切り裂いたのはパトカーのサイレンと交渉に来たらしい警察官の拡声器だ。 「女性や子供だけでも解放しなさい〜。大人数での立て篭もりなんていざ逃げるときに機動力がなくて無意味だからな〜。ここで人質の半分を解放した方が双方にとってメリットがあるぞ〜」  妙にエコーの掛かった警官の声がする。察しの良い人はもうお気付きかもしれないが、僕達は運悪くバスジャックに遭ってしまったのだ。周囲をパトカーで囲まれたのか車外は急にうるさくて敵わない。だが、僕には好都合だ。    雑にガムテープで口や手を塞がれているせいで大声を出せないだけで声が出せない訳じゃない。  僕はいつもの通り誰かに聞こえるか聞こえないかギリギリの声でボソボソと呟いた。 「何が女子供だけでも先に解放しろだ。フェミニズムはこれだから嫌になる。成人男性が恐怖に強いとでも思ってるんだったら大間違いだ。22歳成人男性の僕は歯の根が合わないほどガタガタなんだぞ。マスコミに中継でもされたら子供よりも醜態さらして5chにスレッド立てられる自信ある」
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