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「ーーじゃあまた」
公園の奥に人影が見えた。
先ほど飯能と校門で話していた女子生徒達だ。警察の事情聴取は終わったのか、今度は見知らぬ男を見送っている。
僕は先程見た光景を思い出す。
飯能が黙って連れ去られたのはこの子達が居たからだ。しかし、この子達は本当に飯能の友達なのだろうか。
僕が近づくと男は去っていったが、女子生徒は捕まえることができた。
「お、おおお前。さっきお前と話していたときの飯能は作り笑いの方の笑顔だった。僕はそれを見て”飯能は僕と違って同級生にも対外的な大人の対応のできる器用なやつ”だと思ったが違うな」
「は、はぁ?」
困惑した顔、だけど、人の顔を窺ってばかり生きてきた僕には困惑の中にある感情が見える。
「お前たち本当は飯能と仲良くなんか全然ないんじゃないか? 引き止めて時間を稼ぐ係。ーーあぁ、悪い。お前達を怪しいと思ったときから写真にも撮っているし録音もしている。知っていることを話せ」
僕は女子高生を恐喝する。
(情報を一つでも引き出せ! 飯能を助けるんだ!)
飯能は騒がしい。
けど、本当に騒がしいのは飯能に当てられてガラにもないこと不格好に挑戦してしまう自分自身だ。
それでも、ここで飯能を諦めることに比べたら全ての選択肢がマシに見えたんだ。
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