プロローグ

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「どこが良いことだ。お前に外に連れ出されて本当ほとほと迷惑だと思ってるしお前には反省して欲しい。どうせここでお前は解放されるけど僕は解放されないしメンタルは病弱だけど身体は健康優良児の僕は都合の良い人質としてあの中年ハゲ男共と心中するんだ。飯能も居なくなってしまったら僕は一人で恐怖に耐えられる自信なんかない」 「大丈夫ですって〜」 「うるさい脳天気」  飯能は”いつも被っている帽子”を僕に被せた。その間にも女性や子供は次々とバスを降りて行っている。 「さっき数えた時女は15人だった。もう1人はどこだァ!!」 「あっ、私ですぅ!」  いかにもテープでうまく声が出せないけど頑張っていますという風な声真似がうまい。飯能の出す甘ったるい声はどこからどう聴いても女の子のものだ。 「モタモタするなぁ! 歩いて来い!」 「はぁーい」  飯能は通路側に居た僕を身体で突き飛ばした。
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