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古本屋バイト
中年男性しか見なさそうな大きな活字がついたスポーツ新聞にデカデカと掲載されているのは先日騒ぎになった事件についてだ。
「”武闘家女子高生、バスジャック犯を逮捕!”ーー凄い見出しだねぇ、飯能ちゃん」
「ねへへー。店長、褒めて褒めて♡ バイト代も金一封していいっすよ」
それとこれとは別問題、と飯能を小突きながら店長は飯能の無事を祝った。
あれから2日が経ち、僕達は五体満足のままバイト先に来ている。
あの日、飯能がバスジャック犯を捕まえた。僕達が解放されてから1時間後のことだ。その後も人質を減らすように要求された犯人達は小柄な飯能と数人を残したが、まんまと飯能に返り討ちにあったのである。
「やっぱり飯能ちゃんは凄いよ。怪我とかなかった? 流石は天才武闘家イイノゲンスケの子だね」
イイノ ソラはとある有名な武闘家のひとり娘である。飯能自身もその道では知らない人の居ない天才らしいが、僕はそんな世界に興味はないため深く聞くことはない。店長はおまけのように僕にも声をかけた。
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