16人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「繊細くんも無事で良かった」
「はい」
“繊細くん”というのは、この古本屋の店長が僕に付けたあだ名だ。店長は僕の親戚にあたるのだが、僕の両親が「この子は繊細だから〜」と毎度のたまったせいで、昔から繊細くんと呼ばれている。
「大丈夫ですよぉ。先輩が怖くてお漏らししちゃった話は秘密にしますから」
「してない。嘘つくな」
「本当、繊細君は飯能ちゃんとは普通に喋れるんだねぇ」
「別に、そういうわけじゃないです」
飯能と僕はこの古びたお店のたった2人きりのバイトだ。人間嫌いの僕でもそれなりの会話はできるのだと言いたい。
最初のコメントを投稿しよう!