タイトル

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 小さい頃から、寝る前に物語を考えるのが好きだった。登場人物は好きなヒーローだったり、自分と同じくらいの年齢の男の子だったり。寝る前に両親が、よく本を読んでくそして俺は今日も狭い四畳半の部屋で自分の世界の中に飛び込んで行く。  誕生日で33歳。まともな仕事につかず、バイトで何とか食いつないでいる。親には嫌味を言われるが、夢を追わない生き方なんて生きてるなんて言えないと俺は思う。  さー、どんな続きにしようか。書きたいのは小学生や中学生向けの小説。どんな物語にせよ最後はハッピーエンドがいい。現実は上手くいかなかったり、努力しても結果が実らないことが沢山ある。それならせめて小説の中くらい主人公がハッピーエンドを迎えて欲しい。  四畳半の部屋の真ん中、原稿を書くための机が置いてある。ちょうどその向かい側には「あと100日」という目標の文字が貼られている。今回書いている小説は締切まであと100日だ。  あと100日で原稿を提出する。そうすると一旦今の物語を送り出し、ほっと一息をつくのも束の間。そして101日目からはまた新しい物語を書き始めるのだ。新しい物語、新しい歴史が始まる。その1日が嬉しいだけでなく、辛い時がある。大した賞を取ったことの無い俺にとって、落選は毎度毎度自分の才能のなさと、お前の作品は面白くないと突きつけられているようなそんな気がしてたまらない。    それでも俺は書き続ける。100日は今まで努力してきた道のりだ。自分を支える唯一の歴史。  机の上のペンをもつ、物語を書き始めた。  
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