第4話 アナログチラシで効果をねらえ!

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第4話 アナログチラシで効果をねらえ!

「こんにちは! 青葉書店です!! 」 「は~い」 「あ、おばさん」 「いらっしゃい、万理望(まりも)ちゃん、文鳥の餌? 」 「あれ? おじさんは? 」 「お父さんは今日、病院の日でね」 「え? どこか悪いんですか? 」 「そうじゃないのよ。この歳になれば何かと病院にお世話になっちゃうのよ。 お父さんに何か用? 」 「あ? そうそう、俊さんはいますか」 「ああ、俊平ね?夜勤でさっき起きたところよ。呼んでくるね」 「すいません」 「万理望さん、ここ小鳥屋さんでしょ? こんなところで何するの? 」 「こらっ。こんなところとは無礼な。ここは笹塚周辺でも老舗のペットショップなんだから。まぁ、見てなさい」 正樹君の疑問も、まぁ、納得できる。 お魚と鳥では正反対に位置するようなものだし....しかし、ここの俊平さんは.. 「 ..ふぁ~」 「こらっ! 俊平、お客さんの前であくびしないのっ! 」 「 ..はい、はい....やぁ、万理望ちゃん。あれ? 少し大きくなった」 「ち、ちょっと、俊さん、ど、何処を見ていってるんですか。セクハラですよ! 」 けだるそうな雰囲気の俊さんは実は海洋生物の学校に通っていた。けど、学校を途中でやめてしまい今はビルの設備管理の仕事をしている。 「へぇ.. 万理望ちゃんが年下好みだったとはね。そういうの『おねショタ』っていうんだぜ」 「もう! 何言ってるんですか! 怒りますよ! 」 「万理望ちゃん、怒っても怖くないね」 「 ..いろはおばあちゃんに言いますよ.. 」 「あ、ごめん! それ、勘弁して」 俊さんは中学生の頃、青葉書店でコミック本を万引きして、いろはおばあちゃんに見つかってしまった。ご両親に連絡されることはなかったけど、そのかわり懇々とお説教されたらしい。それ以来、いろはおばあちゃんには頭が上がらないのだ。 ・・・・・・ ・・ 「なるほどね。でもチラシって.. アナログだねぇ」 「いろはおばあちゃんから聞いたことあるんだ。昔、バンドのメンバー募集は練習スタジオとかに貼りだしていたって。つまり、ターゲットが一番行く場所に貼りだせば効果あると思うの。それで、俊さんにお願いしたいの、ダメ? 」 「 ずるいなぁ、その頼み方.. でもさぁ、そのチラシって何が目的なの? 」 「いや、だから友達になったりとか.. 」 「ははは。ダメだよ、それじゃ。こういうのって見た人の心にズシンと響くものがないと。そういうの考えてる? 」 「 ..むむ.... 」 確かに甘かったというよりも考えなしだった.... 「 ..あ、あの..別にもういいです....万理望さん、ありがとう」 「少年よ、君は? 君はどうなんだい? 例えば、海洋生物が好きな仲間ができたとして、その仲間とやってみたいこととかある? 実際できるとかは別にしてさ」 「 ..海 ..海に行って生物探しとか観察したりしたい.. です」 「なるほど.. うん、じゃ、それを活動の目的としよう! 『月に1回くらいに水族館や海に行って調査、観察をするための仲間を募集』って事でどうかな? これってボッチじゃやりずらいことだから仲間集める意義ってあると思うぜ」 「凄い! さすが俊さん! そして研究をするのね!? 」 「ははは、マジメか! こんなの別に遊びでいいんだよ。肝心なのは仲間だろ。これぞ名付けて「大義を掲げて実は遊んでばかりいる大学サークル作戦」だ!! 」 「な、なんて軽い! ..で、どうする、正樹君? やってみる? 」 「う、うん.. 何かおもしろいかも.. 」 「ただ、正樹君、サークルの(あるじ)は君だ。企画や段取りは君が中心になるんだよ」 「 ....」 「大丈夫だよ。私や俊さんが力になるよ」 「え!? 俺も? 」 「もう船は出たよ、俊さん」 「 え~.. 仕方ないなぁ.... 」 「じゃ、サークル仲間募集のチラシ作りと張らせてもらえる場所を見つけなきゃ」 「 ..それについては、少し当てがないわけじゃない。チラシでも考えて待ってなよ」 俊さんから連絡が来たのは3日後の木曜日だった。
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