シルクジャスティスとエリモダンディー

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シルクジャスティスとエリモダンディー

名前の通り「新馬戦」で競走馬はデビューする。 レースランクは一番下、たまにイレギュラーで負ける事もあるが、後に大レースを勝つような馬はこのレースで負ける事は殆ど無い。 そんなレベルの低いランクのレースで6戦負け続けている1頭の馬がいた。 その名は「シルクジャスティス」。 人を乗せたがらない、トレーニングもチンタラチンタラ走るので無理に走らせようとするとブチギレる。 それでも走らせようとすると横に走る! おかげで全然トレーニングが進まずフォームはバラバラ。 強い馬というのは聡明で「もうすぐ人が沢山いる前で走るんだな」みたいな感じで、何となく競馬を覚える。 しかしシルクジャスティスは毎日毎日、同じ事で驚いてキレる。 競馬を覚える気持ちが無いのか、頭が悪いのか。 血統が良く、たまたま真っすぐ走った時は凄いスピードだったので期待されたが、勝てないのは当然だった。 同年齢のサラブレッドたちがどんどん勝ち上がっていくなか、ろくにトレーニングも出来ず牛みたいな体型になってしまったシルクジャスティス。 関係者たちも 「なにがジャスティス(正義)だよ、手が付けられないよ。あーあ、ダンディみたいにマジメだったらなあ」 とぼやく。 ダンディとは? それがこの物語のもう1頭の主役、その名は「エリモダンディー」。 シルクジャスティスと同厩舎(同じ所属、仲間という意味)。ダンディなどと名付けられたが気が弱く、体重も平均より100キロ近く軽い370キロしかない小柄な馬だった。 サラブレッドはマシンではない、シルクジャスティスとエリモダンディー。 シリーズ6弾は馬の友情について、事実を語ろうと思う。
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