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この世界に於いて、人間という種は単なる奴隷に過ぎない。
自らの愚行が招いた悲劇、とでもいうのか。人の持つ知恵という武器は世界に息づく他種族の追随を許さず、その圧倒的な文明の進歩と繁栄の速度によって、この星における絶対的な頂点に君臨するのは必然だった。
それは人間という種が持つ、無尽蔵の『欲』が齎した結果である。
生きるためには食事をしなければならない。だから食べられる穀物や植物を見つければ、それらをより効率よく栽培する手段を探す。
食物を確保するには人手がいる。ならば自分たちより弱い者たちを支配下に置き、労働力とすればよい。
支配者には力が必要だ。そのためには優れた殺傷能力を有する武器が必要不可欠であり、それらを生産する技術力もまた必須である。
人は更に上へ上へと高みを目指してひたすらに突き進んだ。もっと豊かに、もっと強く、もっともっともっとと……人の欲は醜く悍ましく膨れ上がり続ける。誰も到達したことのない領域に足を踏み入れるために。
やがて名実ともに星の支配者として君臨した人間という種が、次なる繁栄の舞台を目指し『主への挑戦』という禁忌を選択するのは自然の流れだったと言える。
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