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「世界は死にかけている。悔しいが、私たちだけではどうすることもできない。彼が……本当に噂通りの男なら、賭けるしかないだろう」
「……わかってるよ。一応確認しただけだ」
「ほんと、肝が据わった姉ちゃんだぜ」
アリシアの力強い返答に、男たちは呆れたように肩を竦めた。
この場に侵入する時点で彼らは大きな犠牲を払っている。守護天使たちの目を盗んでこの監獄への侵入経路を突き止めるまでに、いったいどれだけの仲間が敵の手に落ち、その命が失われたことか。
本当なら、今すぐこの作戦を放り出して監獄に閉じ込められている同胞たちを救い出しに行きたい。見ず知らずの凶悪な犯罪者よりも、仲間の命を優先したいという感情は至極当然の道理だろう。
だがどれほど仲間を救い出したところで、その先がないとわかっている。異端の烙印を刻まれた自分たちがこの世界で生き抜く道はただ一つしかない。世界を変える――――それしかないのだ。
「……よし、行くぞ。処刑が始まったら、お前たちは手筈通り敵の注意を引いてくれ。私はその隙に『魔拳』の救出に向かう」
「了解」
「……ひと暴れするとしますか……!」
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