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Prologue
天から降り注ぐ極光の柱が、地から舞い上がる無数の黒き影を無慈悲に撃ち落とす。翼を失った異形の者たちは、遥か天上からこちらを見下ろす存在に怨嗟の叫びを迸らせながら堕天していく。極光と共に舞い降りた白き影たちが輝く翼を羽ばたかせ、為す術なく堕ちていく黒き影たちに追いすがり、その胸を剣や槍で貫いた。
神の御座を目指して人々が築き上げた偉大な塔は、押し寄せる洪水によって今にも崩れ去ろうとしていた。塔の中に住まう人々は、黒き者たちの勝利だけをひたすらに希って膝をつく。しかし、程なくして塔の中にも白き影たちが入り込み、天に反旗を翻した愚かな人間たちに裁きを下していくのだ。
虐殺、拷問、血で血を洗う凄惨な光景が塔内部のあらゆる場所で繰り広げられる。もはや平穏な日常など、この世界のどこにも存在しない。力なき憐れな者たちに逃れる術などありはしない。いずれ真の自由を勝ち取るなどと思い上がった下等生物たちの末路がこれだと、白き影は嘲笑しながら悲鳴を上げて逃げ惑う人々を追い回す。
塔の外でその男もまた、極光に翼を撃ち抜かれて堕ちていく。
男は絶え間なく極光を放つ雲の切れ目へと手を伸ばし、嚇怒の叫びを上げた。
天を目指す術を失った。しかし諦めるわけにはいかなかった。男は塔に残してきた最愛の女に誓ったのだ。もう二度と、お前を苦しめることのない世界を作ってみせると。
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