現在

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俺は知人から教えられた通り、ホテル『ルーチェ』へと入る。 右側の傘置き場にある灰色の取手がない傘を手に取り、自動ドアをくぐる。 そしてホテルの待合室の右隅に立つ。 すると程なくして一人のホテルマンが近づいてきた。 そして俺に話しかける。 「傘、頂戴いたします」 「あ、えっと。オンブラで?」 「オンブラですね。ではこちらに」 私はホテルマンに連れられ事務室へ向かった。 ホテルマンは事務室の床を三回、三回、七回と三三七拍子のリズムで足で鳴らした。 事務室の壁が開く。これはたまげた。 すると黒子ほど黒い人が開いた壁から出てきて俺を手招きした。 俺は壁の中へ入っていって階段を降りた。 そこは研究所であった。 これがM博士に会う方法である。
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