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男は回転椅子に座って、デスクに向かって鉛筆を走らせていた。 「おや、初めましての方だね。誰からここを?」 「あ、ヤスから……」 名刺を手渡しながら言う。 「ああ、安村ね。彼には借りがあるから」 男も名刺を渡してくる。名前欄には『M』とだけ書かれていた。 どんなことをあのドジっ子は借りを作らせたのだろうか。俺には借りを作る側なのに。 「そうですか、あの俺、あ、いや私」 「いや。敬語とか気にしなくていい」 「じゃあお言葉に甘えて」 ヤスには何でも叶えてくれるからちゃんと言えと言われていたので私は恥ずかしがることなく話した。 「あの……やり直したいことがあるんですけど。過去に戻れたりしませんか?」 「ほう……時間はかかるがそれでもいいかい?」 「いや、できるだけ早く……」 「どれくらい?」 「ふ、二日」 「何だって!二日って言ったかい?それじゃ無理だ、でも試作品でいいのなら間に合うぞ。その分お代は半額でいい」 「試作品でも作ってもらえるならありがたいです!」 「決まりだね。じゃあ二日後、今度はここに来て」 男が渡した紙にはあるレンタカー屋の住所が書かれていた。
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