にょろとふて【短編】

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「毛玉だ」  あたしは、目の前の喋る毛玉をジロジロ見つめた。 「誰がだ」  毛玉はふてくされたような口調で、忙しなく口を動かしている。あたしのえさ箱からとったやつだよね、それ。 「……ねずみ?」 「失礼な。おれは孤高のハムスターだ」 「ハムスター?」  あ、これがハムスターっていうんだ。そういや、飼い主さんがパソコンていうので動いているの見てたな。  あの板って凄く便利だなーって思う。どう便利か知らないけど。あ、いけないけない。目の前の問題に戻らなきゃ。  灰色の背中に黒い縦線がお尻まで伸びてる。なんか── 「可愛い」 「ぬう!? 孤高(ここう)のおれに向かって可愛いだとぅ!」  いや、あたしのえさ食べながら言われても。なんならいま、ほっぺに三つほど仕舞ったよね。
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