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異世界召喚!?
「痛ったぁ!」
歩いていたら突然何かにぶつかり、あまりの痛みに頭を抱える
「電柱にぶつかったかぁ?」と思い、前を見てみる
(近所のおばさんに見られてたら、どうしよう…噂されるよなぁ)
人の噂とお喋りが大好きな近所のおばさん、噂大魔王達を想像する
恐る恐る前を見ると、
「は?」という言葉が口から溢れた。
なぜなら、先ほどまでと歩いている道が違い、見知らぬイケオジや美人に美少年がいたのだ。あと、ローブで顔を隠しているのが3人
(なんだ?この謎の集団…宇宙人!?)
以前見た宇宙人に誘拐されたという外人さんの話を思い出した。
(突然見知らぬ所にいた…非科学的だよね?宇宙人にUFOで誘拐されたとしか…)
「おぉ、すまない。あまりにフィリーネに似ており…よくぞ、来てくださった。異世界から渡し青年よ」
(異世界から、渡し青年!?)
「はあぁぁぁぁぁ!?」と俺の素っ頓狂な声が部屋に響いた。
***
「俺が、身代わり、ですか?」
異世界召喚された理由に驚き、思わず聞き返してしまった
「あぁ、なんとしても知られてはならない。今我が家に隙を作るわけにはいかないのだ。」とイケオジこと、ラクフェス・アーゼン・ヴェルディーマさんに厳しい顔でアッシュグレーのオールバックヘアを崩す
俺が説明されたことを要約すると、亡くなったフィリーネ・アミリス・ヴェルディーマさんの身代わりをすること。
ヴェルディーマ家は代々軍人家系らしく政治とも祖父の代までは関わりがなかった。
しかし、王国に魔物の軍団スタンピードが起きた時国を守ったのがヴェルディーマ家
国を守ったことの功績で子爵家からなんと公爵家に。大出世をしたらしい
いやでも政治と関わらなくてはいけなくなり、後ろ盾として第ニ王子の婚約者にフィリーネさんがなったと。
王妃の子第二王子と第二王妃の子第一王子の王位継承は苛烈を極めているらしい
近頃力をつけてきた公爵家を後ろ盾とすることで王位継承を優位にしたい王妃の思惑がよくわかった
「ん?別に婚約破棄してもいいんじゃないですか?」
(本人、娘が亡くなったのだから婚約は解消するしかないと思うのだが…)
特に問題となる点が見当たらなかったのでそう提案すると、
「本来、我が家は第一王子派なんだ。しかし、王妃に命令されフィリーネは婚約させられた。だが、第二王子はフィリーネと婚約破棄するつもりらしい。」
忌々しい第二王子め!とラクフェスは呪詛を吐いた
「我が家は姉様が亡くなって、ある作戦が決行できないんだ…!だから、協力してほしい!」とサラサラな黒髪に紅玉のような赤い瞳の美少年、ウィリアム・レーヴェ・ヴェルディーマに懇願される
「ある作戦…?」と聞き返す
先ほどの説明に作戦らしいことなど言われていないからだ
「私から話しますわ。」と星のように綺麗な金髪の美人な女性、フィリーネさんの母らしいクローディア・ルーツェリア・ヴェルディーマさんだ。
「私達は、第一王子派。ですが、フィリーネは第二王子と婚約しているので表向きは第二王子派なのです。」
「はい。」そこまでは、会話から理解できたが、作戦とどう繋がるのかはわからなかった
「第二王子には失脚してほしいのです。婚約破棄をされるのもこちらの計算でした。まぁ、ラクフェルはフィリーネが傷物になるのが嫌らしいのですが…」
「はぁ、でも失脚させるのは難しいのではないですか?王族ですよね?」と聞くと、
「いいえ、簡単よ。こちらが悪くならないで婚約破棄する方法…女性関係だとか、あの方はよくで素直。悪くてバカ。真実の愛で国王である父と母が結婚したと思っているの。事実は第二王妃と国王の仲を引き裂いた悪魔なのにどう勘違いしたら本当に愛し合っていると思えるのかしら…」と妖艶な笑みを浮かべながら、黒い雰囲気を放っていた
「彼は惚れやすく、恋愛結婚したいと思っていたの。けど、母にフィリーネと婚約させられた。自分より賢いフィリーネを疎み、女遊びに走り男爵令嬢と真実の愛に目覚めただの騒いで婚約破棄するつもりらしいの。」わざわざ無実の罪まで用意してバカな王子よね。証拠が全部こちらにあるのに。と呟いていたのは聞こえなかったことにしたい。
なぜなら、第二王子の情報がここまで筒抜けなのは向こう側に味方がいるからだろう……そのことに気づいてしまい、恐怖で身を震わせる
(あぁ、敵に回したら怖いタイプだ。現実で殺すより辛い社会的に殺すタイプの人)と気づいた
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