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フィリーネの所作を身につけよう!
「そのことを逆手にとって、逆ざまぁして第二王子を失脚。第一王子に王位についていただきたいわ。」とクローディアは語った
「あの、この世界では長男が跡をつくんではないんですか?」
昔の考え方だが、家を継ぐには長男と決まっていることが多かった。この世界では長男が継ぐのではないのだろうかと疑問に思い聞いてみると、クローディアは美しい顔を歪めた
「王妃は隣国の王女なの。二つの王家の血を引いている第二王子を王位につけるべきと騒ぐ奴らがいるのよ。普通は長男が家を継ぐことが多いわ。問題がない限り。」
「でも、隣国の血も引いているなら隣国の王家が口出しすることもできるんじゃないんですか?」
二つの王家の血が入っている王子が王位に着くのはいいことだと表面上はいいと思うが、逆に隣国の血もあるのなら隣国が政治に口出ししてくることもあるんじゃないだろうか?と疑問に思った。
日本の歴史でも似たようなことはあったのだし。
「そうよ。その可能性も考えずに馬鹿共は言っているのよ。少しでも賢さがある家は第一王子派だわ。……貴方、ちゃんとわかっているのね。安心したわ。」と厳しい顔ではなく優しい笑顔で微笑まれる
「ところで、クローディアさんが第一王子を推す理由は?」
隣国の王家の血が入っている方に味方した方が隣国には良い印象を持たれるだろう
だが、ヴェルディーマ家は第一王子派らしい。
「先ほども少し言ったけど、第二王妃であるアリスティアと国王陛下は恋人同士だったの。身分も侯爵令嬢と王族で釣り合いが取れていたわ。けど、隣国の王女、現王妃が留学してきた時、陛下に惚れて無理矢理婚約者になったの。『自分を婚約者にしなかったらアリスティアを害す』と脅してまでね…」と悔しそうに拳を握りしめた
「そんな、ことが…」
(女怖えぇ…)
愛している者を害すと脅されれば仕方なく婚約するしかないだろう。なんせ相手は隣国の王族なのだから…
「だから、許せないの。アリスティアの願いではないけれど、第二王子なんかよりアリスティアの子に王位についてほしいの。それにフィリーネに対して暴力や暴言も許せないわ。あの子隠れて泣いていたの………!」というクローディアの瞳には憎しみの炎が宿っていた
「僕も許せないんだ…!!僕はこの二人の子ではない。父の弟の子なんだ。姉様と僕は従姉弟で、両親の死に悲しんでいた僕に何も言わず、ただ、ずっと付き添っていてくれた……僕は第二皇子に復讐したい!どうか、力を貸してくれ!」とウィリアムに頭を下げられる
「私からもお願いする。」とラクフェルにも頭を下げられてしまった
「……わかりました。ところで、フィリーネさんの絵とかはないんですか?見てみたいんですけど……」
「小さい絵姿なら…」とラクフェルは懐から懐中時計を取り出した。
中には今より少し幼いウィリアムとフィリーネらしき人物の絵が描かれていた
「俺と、そっくり…!?」
髪の色は違うがフィリーネは暗めに金髪に赤紫の瞳で、少しつり目がちな大きい瞳、鼻の形や唇もほぼ同じだった
(自分が女顔っぽい自覚はあった。しかし、こうまで似てる人、それも異性がいると思わなかった)
「そうだろう。これは我が家に密かに伝わる自分と似ている異世界人を呼ぶ出す魔法で君を呼んだんだ。異性だとは思わなかったが……君をみた時フィリーネが蘇ったのかと思ったほどだ。」とラクフェルは悲しそうに顔を歪めた
「本当にそっくりですね……けど、髪や瞳の色は違いますが…どうするんですか?それに貴族なら作法とか…」と聞くと、
「髪や瞳は魔道具で変えられるわ。でも、髪はカツラかしら?」とクローディアは右頬に右手を添え、
「作法はフィリーネのように完璧につけてもらうわ。」貴方に作法をつけるのはやりがいがありそうだわ。と悪魔のように微笑んだ
後退りしてしまったのは、人間の本能だと思う。怖いものに対して逃げるのは当たり前だろう?
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