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手を打っていないわけではない。私だって魔力補充のサプリメントは呑んでいるし、魔法使いの方も在中してくださっているし……。
(……なんだか、迷惑ばっかりかけてしまっているわ)
体調が悪いと、心まで弱くなってしまうのだろう。
私は、ふとそう思ってしまった。
私が倒れるたびに振り回される使用人たち。彼らは文句一つ言わずに私の看病をしてくれるけれど、このままでいいとは思えなかった。
「シェリル、大丈夫だからな」
旦那様が、ふと私に声をかけてくださった。その声は何処となく震えており、旦那様の方が大丈夫じゃなさそうだった。
……そりゃそうか。新婚の妻がこんなにも頻繁に倒れてしまったら、疲れてしまわれるだろう。
「……だん、な、さま」
力の入らない手で、ぎゅっと旦那様の衣服を握る。
「どうした?」
「ご、めんな、さい……」
どうしてこんなにも倒れてしまうのだろうか。どうして――迷惑ばかりかけてしまうのだろうか。
そんなことを思うと、私の口は自然と謝罪の言葉を発していた。
「シェリルが悪いわけじゃない。……とりあえず、休もう」
「……は、ぃ」
そのお言葉には、頷くことしか出来なかった。
(……わた、し、どう、なっちゃうのかな……?)
なんとなく、嫌な予感がしてしまう。
やっと幸せを手に入れられたと思ったのに。なのに……私は、このままどうにかなってしまうのではないだろうか。
そういった不安が私の中に芽生えて、消えてくれない。
「……シェリル」
旦那様が私の名前を呼び、髪の毛を撫でてくださった。
……それだけで、私は幸せだった。
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