第4話 気遣いが、辛いときだってある

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 その後、ゆっくりと重たい瞼を開ける。  一番に視界に入ったのは、見慣れた天井。……夫婦の寝室だ。  どうやら、私は意識を失ってしまっていたらしい。  そっと隣を見ても、誰もいない。部屋のカーテンは閉まっているけれど、光が入ってこないことから今は夜なのだろう。  ……こんな時間に誰かを呼ぶのは、気が引ける。 (……もう一度、眠ろうかな)  起きたことを知らせるのが一番いいのかも。だけど、夜に使用人を呼ぶのは憚られてしまった。だって、彼らにも休息はあるもの。  もう一度瞼を閉じるとほぼ同時に、寝室の扉が開いた音がした。  ……誰か、来たのかな。 「奥様~、入りますよ~」  私が眠っていると思っているのか、差し足忍び足で近づいてくる誰か。……声からして、クレアだろうか。  彼女の気配を感じて、私はもう一度瞼を開ける。身体を起こそうとするものの、やたらと身体が重苦しくてうまく起き上がれない。 「あっ、奥様!」 「……クレア」  クレアが私の目覚めに気が付いて、慌ててこちらにやってきてくれる。  彼女は私が起き上がろうとしているのを見て、顔を青くして止めてきた。 「ダメでございますよ。……まだ、本調子ではないのですから」 「……でも」 「侍医の見立てによれば、やはり魔力不足が原因だそうなので……」  眉を下げてクレアがそういう。  それすなわち、普通の病気ではないということ。
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