第4話 気遣いが、辛いときだってある

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(……やっぱり)  何となく予想はしていた。普通の風邪などだったら、私の体調不良はここまで長引かないだろうから。 「旦那様は、本日は私室で眠られるそうです。……奥様にはゆっくりとされてほしいと」 「……ごめんなさい」  クレアの言葉に、私は思わず謝罪の言葉を口にしてしまった。  そっと視線を逸らして謝罪をすると、クレアはぶんぶんと首を横に振っているらしかった。 「いえ、奥様が悪いわけではありません。……あぁ、そうです。夕食を持ってきました。いかがなさいますか?」 「……少しだけ」  折角の好意なのだから、断るのも忍びなかった。  そのため私がそう返事をすれば、クレアは寝室の入り口の方へと戻っていく。  それから、彼女はワゴンを押してきた。 「どうぞ、奥様」 「……ありがとう」  ワゴンの上に載っているのは、がっつりとした夕食ではない。あっさりとした胃に優しそうなメニューだった。 「料理人にも、気を遣わせてしまったのね……」  自然と口からそんな言葉が零れた。  体調が弱っていると、どうしても弱気になってしまうものだ。普段よりも数段沈んだ声でそうぼやくと、クレアは痛々しいとばかりの視線を向けてきた。……何も言葉を発さないのは、彼女なりの優しさだろう。  とりあえずとばかりに、野菜のスープに手を付ける。普段よりも少し味が薄いような気がするのは、気のせいではないだろう。大方、私が食べやすいようにと本当に気を遣ってくれたのだ。 (……本当に、ありがたいわ)  そう思う半面、どうしても迷惑をかけてしまっているという気持ちが先行してしまう。
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