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サイドテーブルの上に並べられる食事を見つめつつ、私は一人で思考回路を動かした。
(いつまでも、この調子でいいわけがないわよね……)
考えることは、大体一緒。このままでいいわけがないということ。
だって、私が体調不良で倒れるたびに、心配をかけてしまう。それに……。
(王国の土の状況も、芳しくないというし……)
旦那様が時折そんなお話を教えてくださっていた。だから、私はそんな情報を手に入れている。
作物が上手く育たないという要望書は、旦那様のところにたくさん届いているそうだ。専用の肥料をまくという手もあるけれど、それは所詮一時しのぎにしかならない。
根本を解決しないことには、上手くいかない。
(だけど、その根本は、どうすればいいのかしら……?)
『豊穣の巫女』は自然と魔力がリンクしているだけではなく、その自然に魔力を送ることが出来る。
しかし、それ何度も何度も訓練して出来ること。……現状の私じゃ、無理に等しいのだ。
「でも、私しかいない……」
ボソッとそう言葉を零してしまう。
現在のウィリス王国には『土の豊穣の巫女』は私しかいないそうだ。ほかの自然を司る『豊穣の巫女』はいらっしゃるらしいけれど、土は私一人。……つまり、私が何とかするしかない。
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