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「旦那様。……お言葉ですが、貴方様は周囲を頼ることをなさっていませんよね?」
「……はぁ?」
何が、言いたいんだ。
「その道にはその道のプロがいます。なので、ほかの方に知識を教えていただくのも、大切かと思いますよ」
サイラスは、何のためらいもなくそう言い切った。
……ほかの人に知識を、か。
(……そうだ。あいつ、だったら)
俺には多方面にたくさんの知り合いがいる。その中で、現在役に立ちそうな知り合いと言えば――『研究オタク』のあいつしかいない。
(ついでにいえば、あいつは現在『豊穣の巫女』の研究にハマっていると言っていたな。……だったら)
思い立ったが吉日だ。
その気持ちで、俺は執務机から便せんを取り出し、文字を綴っていく。
(北の辺境に届くのは、かなり先になるだろうな。……だが、どうか頼む)
心の中でそう思いつつ、俺は一心不乱に文字を綴った。どんな手段でもいい。
――シェリルに、負荷をかけたくないんだ。
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