第6話 よし、ぼこぼこにしましょう!

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「奥様!」 「は、はぃ?」  勢いよく私の手を握って、クレアが私のことを呼ぶ。……彼女のその目は、力強さを宿しているようだ。 「旦那様が浮気されているかもと、思われているのですね……?」 「う、うん。けれど、どうせ杞憂――」 「奥様をこんなに不安にさせる旦那様は、ぼこぼこにしましょう!」  ……あの、お話が、飛躍していないかしら……? 「あ、あのね、これは私のただの想像で――」 「本当に浮気していたら、ぶっ飛ばします。えぇ、ぶっ飛ばします。……サイラスさんと、ロザリア様と一緒に」  ……うん、その援軍は強力すぎる。  心の中で、そう思う。 「でも、奥様がこんなにも悩まれているのに、それに気が付かない旦那様も旦那様です! なので、私が今からぼこぼこにしてきます!」  胸を張って、クレアがそう言ってくれる。  ……でもね、クレア。ぼこぼこにする必要はないのよ……。 (そもそも、クレアがぼこぼこに出来るわけないような……)  体格差もあるし、旦那様は男性で、クレアは女性。……力の差はあるし、丈夫さも違う。  そう思いつつ私がっクレアに視線を向ければ、彼女は今すぐにでも飛び出しそうな表情をしていた。  ……多分、私が「行ってきて」と言えば、即飛び出していくだろう。……そんなこと、させないけれど。
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