第10話 最悪の訪問者

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(きっと、私が何かをするのでしょうね)  心の中で、そんなことを思う。現状『土の豊穣の巫女』は私だけだと聞いている。だから、私が何とかしなくちゃならない。そう思っても、なかなか難しいのだけれど。 「ねぇ、サイラス」  そう思いつつ、私はサイラスに声をかけた。すると、彼はきょとんとした表情を浮かべる。  なので、私は意を決して尋ねてみることにした。 「土の魔力を、何とかする方法があるのでしょう?」 「……っ」  彼は何とも言わなかった。けど、それが一種の答えだったのだろう。  そっと逸らされた視線。……察するほかなかった。 (サイラスの態度からするに、きっと私の身体に負担がかかることなのだわ)  サイラスは私のことを大切に思ってくれている。なので、私の身体に負担がかかるようなことは望んでいないのだと思う。  でも、このままだとじり貧になるのは目に見えているの。……私が何とか出来るのならば、何とかしたい。  心の底から、そう思っているのに。 「……お言葉ですが、その儀式を行うためには魔力のコントロールが大切です」 「そう、なの」 「奥様では、まだ少し無理かもしれません。それに、儀式の許可は王家が出されます。王家の意向を無視して、儀式を行うことはできません」  サイラスの説明はもっともなことだった。  王家が許可を出してくれないと、膨大な魔力に関することなど出来ないだろう。……少し考えれば、わかることだった。 (それに、まだ私は魔力のコントロールがあまりうまくないものね)  魔力のコントロールが上手く出来ないと、何かデメリットがあるのだろうな。  そう思いつつ、私は土を握りしめる。……やっぱり、魔力が少ない。 (どうにかしたい。……私に、出来ることがしたいの)  そんな風に考えていれば、不意に生ぬるい風が頬を撫でた。その不気味さに、私がぶるりと身体を震わせてしまったときのこと。  一人の従者が、こちらに駆けてきた。
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