第14話 守りたい

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「……シェリル、あのな」 「は、い」 「アネットと俺は、別に連絡を取り合っているわけじゃない」  旦那様は神妙な面持ちでそう告げてこられると、私の手を握ってこられた。  ぎゅっと握られた手が、熱い。 「アネットの言っていることは、全部嘘なんだ。偽りなんだ」 「……それ、は」 「どうか、信じてほしい」  私の目をしっかりと見つめて、旦那様がはっきりとそんなお言葉を口にされる。  ……そんなこと、おっしゃらなくてもいいの。私は、旦那様のことを信じているから。  ――そう、言えたらよかったのに。 「……わか、りました」  私の口は、たったそれだけの言葉を紡ぐことしか出来なかった。  素っ気なくも聞こえる声音でそう返事をすると、旦那様が少し眉を下げられる。 (私は、旦那様のことを信じているわ)  そう思っても、どうしてかそれを口にできない。唇を動かして、自分の気持ちを伝えようとする。でも、はくはくと動くだけで、言葉にはならない。 「……シェリル」  そんな私を見つめて、旦那様はどう思われたのだろうか。ただ、悲しそうな眼差しで私を見つめてこられるだけだ。 (違う。私は、旦那様のことをしっかりと信じている――!)  気持ちは言葉にしないと伝わらない。  それがわかっているので、私が口を動かそうとしたときだった。
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