第14話 守りたい

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「――シェリルっ!」  私の身体が、ゆっくりと傾いていく。その瞬間、周囲に集まっていた使用人たちも慌て始めるのが視界に入った。 「シェリル、大丈夫か?」  旦那様にそう問いかけられ、私はこくんと首を縦に振る。旦那様が受け止めてくださったおかげで、けがはない。 「大方、いつもの魔力不足でしょうね。……至急、奥様の私室を整えてきてください」 「は、はい!」  サイラスがメイドに指示を出しているのが聞こえてくる。  ……いつもの、魔力不足。そっか、もうそう思えるほどに――私は、倒れているのか。 (本当に、嫌だなぁ……)  こんな風に倒れて、迷惑をかけることはもう嫌だ。  そう思いつつぎゅっと旦那様の衣服の袖を握れば、旦那様が私に顔を近づけてくださった。 「……わた、し」 「……あぁ」 「なんとか、したい……」  消え入りそうなほど小さな声で、私はそう告げる。もうこんな状態、こりごりだ。だから、私はこの状態を何とかしたい。  ――なんとかして、この国の土を守りたい。 「シェリル……」  旦那様が、今にも泣きそうな表情を浮かべられる。その表情を見ていたくなくて、私は目を伏せた。 「……なん、とか……」  私しか何とか出来ないのならば、私が何とかするしかない。  そういう意味を込めて旦那様の衣服の袖をぎゅっと握れば、旦那様は目を瞬かせていらっしゃった。 「……あぁ、そうだな」  そして、しばらくして。そんな風に声を上げてくださる。 「俺は、シェリルの意思を、尊重したい……」  小さく聞こえてくる、そんなお言葉。 「だから――……」  意識が遠のいて、旦那様が何をおっしゃっているのか、もうわからない。ただ、サイラスと共に何かをお話ししているのだけはわかる。 「ですが」 「だが、シェリルが――」  とぎれとぎれに聞こえてくる言葉に、反応を示すことは出来ない。 (……なんとか、しなくちゃ)  このままだと――私は、この王国の土は。どうにか、なってしまうだろうから。  手遅れになる前に――なんとか、しなくちゃ、ならない。
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