第15話 お話ししたい

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 ◇ 「奥様~。こちら、先代の奥様からの贈り物です」 「……お義母様ったら、そこまで気を遣わなくてもいいのに」  旦那様とアネット様の事情を知ってから、数日が経った。  寝台で眠っていた私の元に、クレアがやってくる。彼女は大きな箱を持って、ニコニコと笑っていた。 「いえいえ、娘が出来てとても嬉しそうでございますから。……あと、純粋に心配だそうで」  クレアが眉を下げてそういう。  旦那様のお母様……私から見て、お義母様は私のことを歓迎してくださっている。なんでも、旦那様がようやく結婚したと知り、絶対に逃がさないようにしたい、ということらしかった。それは、お義母様が自ら語ってくださった。  そのうえで、『豊穣の巫女』であり、現在体調を崩している私のことも気遣ってくださっていた。  領地で見つけた美味しいものを、たくさん送ってくださるのだ。 「中身は普段通り食材でしたので、今晩お出ししますね」  ニコニコと笑ったクレアが、そう言う。なので、私は頷いた。 「それにしても、なんていうか空模様もおかしいわよね」  ふと、私が窓の外を見つめてそう呟く。そうすれば、クレアは「そうですねぇ」と同意してくれた。  窓の外では雷鳴が聞こえる。雨が降りそうで、降らない天気。……もしかしたら、王国の水のほうも不安定なのかもしれない。 (『水の豊穣の巫女』の方も、大変なのかもしれないわね……)  無意識のうちに、そう思ってしまった。  なんだか自然と手に力が入って、毛布を握りしめる。そっと視線を下げて思い出すのは、アネット様のことだった。
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