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はんぶんこ
そのときに君は「わたしにもできることがないか」と言ってくれたね。僕はなんとひどい夫だっただろう。その言葉を無碍にして、あまつさえ君に苛立ちをぶつけてーー怒鳴りつけてしまってからハッとした。
誰よりも愛した人を、僕はなぜ傷つけているのだろう、と。
そして無理が祟った。その夜、君に謝る前に倒れてしまうなんてな。思いもしなかった。
入院して、ふと意識を取り戻したときにベットの隣で静かに泣く君を見てーー。
もう少し、ああなる前に話をすればよかったな。……いいや、君は悪くない。全て僕が……。
いや、ああ、そうだな。
「夫婦は全て半分こ」か。
一人で背負い込んでしまうのは悪い癖だ。君に気づかされてばかりだな。
幸い会社はなんとかなった。僕もただの過労だったし、事業は思い切って縮小して、君や子どもたちと過ごす時間が増えて。
そうそう、その時は子どもたちがヒーロー映画が好きで、よくテーマソングを聴きたがったな。
……不思議なものだよ。自分の家族のために思い切って最新のカーステレオを取り寄せてみたら、いつの間にか話題になって、会社はまた活気を取り戻していった。君と子どもたちのおかげだ。
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