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高桑邸は生垣で囲まれているから、意外に抜け道がある。
子供の頃の央司は英彦と一緒に、逃亡成功!と、庭から外に出ていったものだ。
兄は忘れただろうけど、央司は今でも入りやすい場所を憶えている。
タクシーに乗って、実家から少し離れた場所で降りる。
佳織と会うことは認めないと父親に言われたけど、結婚するから大丈夫。
あの時は、妹の妊娠に驚いて、周りの意見に流されただけ。
落ちつけば、仕事仕事の兄よりも、央司のほうがいいと気づいたはず。
でも、彼女は決めたことはきちんと守る。だから、やめたいとは言えないだろう。
それなら、自分が行動すればいい。
央司はそう考えながら、実家の敷地にそっと入り込んだ。
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