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「その頬は何?」
夕食の席で、央司は美那から咎めるように言われた。
左頬には大きなガーゼが貼られている。
兄に殴られた可哀想な弟なのに、両親は手当ての後、タクシーを呼んで央司を追いだした。
しかも、父親が立て替えた佳織への慰謝料を支払わないなら、二度と実家に入ることはもちろん、央司の荷物を受け取ることも拒否すると告げてきたのだ。
さすがに一括で払えとは言われなかったけど、毎月の返済を求められた央司は受けるしかなかった。
アニメーションの新作グッズが手に入らないと思うと、耐えられそうにない。
「転びそうになって電柱にぶつかったんだ」
嘘を言ったけど、美那にはどうでもいいようだ。
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