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婚約披露の日は、朝から快晴だった。
皮肉な気分で外を眺める。
央司の心は暗闇なのに、天気は逆に澄み渡っている。
その時、季節の終わりを告げるような蝶が、視界の左下から右上に向かって飛んでいった。
札幌ではそろそろ秋も終わるから、今年最後に見る蝶かもしれない。
白くて可愛らしい蝶が飛び去るのを、央司は目を細めて眺めていた。
手を伸ばせば届きそうなのに、決して捕まえることができない。
それは、佳織と同じだ。
(どうして、こんなことに……)
央司は、一度右手を伸ばしかけて、力なく落とした。
(誰か、止めてくれてれば……)
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