第一章 禁断の誘(いざな)い

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 ***  「この後、ホテルでディナーにして、そのまま泊まらない?」  初めてのデートの時、佳織は展覧会に行きたいと言ったけど、央司(おうじ)は映画を()たかった。  楽しみにしていたアニメーション映画が、少し前に公開されたからだ。  ネットでの評判はかなり良くて、央司も早く観たくて仕方なかった。  言われた佳織が少しためらったのが分かったけど了承(りょうしょう)してくれたので、央司は喜んで、いつも行くシネマコンプレックスに向かった。  レビューの評価よりも、もっと面白かったから央司のテンションは上がった。  アニメーションを見るのは初めてという佳織も楽しそうだったから、余計に気分が上がる。  その気分のままにホテルに誘うと、頷くと思った佳織は困った表情になったから、央司はとまどった。  (変なこと言ったかな……)  婚約者とホテルに行くくらい普通なのに、どうして佳織は困っているのか……
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