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「あの……結婚前に男性と親密になるのは……子供が出来たら大変なので」
彼女は、初めての女性社長になるということだから、相当慎重になっているらしいと央司は思った。
(簡単に妊娠なんてしないのに)
央司は当然だけど、数人と交際したことがある。
社長の息子、というのは、それだけで魅力的らしい。でも、央司がアニメ好きと分かると、微妙な表情をされて自然消滅した。
意味が分からなかった。
人の趣味は自由なはずなのに、イメージと違う、と言われるのはすごく不満だ。
でも、佳織は一緒に映画を観てくれた。
今までの女性と違うと分かると嬉しくて、もっと近づきたいと思ったから、断られると少し不満だけど、無理に関係を迫ることはできない。
さすがに、強引にホテルの部屋に連れていくのが問題くらいは分かる。
「……それじゃ、ディナーだけでも」
「それでしたら」
恥ずかしそうに笑みを向ける佳織は可愛くて、微かに感じた不満を央司は忘れた。
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