第一章 禁断の誘(いざな)い

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 ***  映画を()て、次の約束をした翌週の午後、央司(おうじ)のスマートフォンに初めての番号から電話が掛かってきた。  (誰だろう)  あまり重要な仕事を(まか)されているわけではないけど、何もしていないわけではない。  社長の息子だ。  アニメーションばかり見ていたら問題だろう。  新規の業者と思って気軽に出た央司は、聞こえてくる声に驚いた。  =分かります?水野美那です=  教えてないのに、央司の電話番号を知っている。不審感を持ったけど、央司は話しを続けることを選んだ。  用事があるから連絡してきたのだろうと。  「あ、はい。分かります。あの……僕に何か?」  =ええ……あたしの婚約者、貴方のお兄さんのことで言いたいことが……=
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