キミの頭の天辺の…。

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   朝のショートホームルーム前のチャイムが鳴るか鳴らないか位のギリギリに教室に入ってくるキミ。 毎朝起きられへんのか?(きっと起きれへんねやろうなぁ…)キミの頭の天辺にはいつも爆発したみたいに髪の毛が逆立って鳥の巣みたいになってる。    キミの髪質は猫っ毛なのか?いつもワタシの前の席に座った時、息が整ってなくて肩で大きく息をするから頭も少し上下する。 その時、天辺の髪の毛が柔らかそうにワタシの目の前でユラユラユラユラ揺れる。 それを見てワタシはいつも思う。 キミの頭の上の巣に住める位の大きさの鳥になれたらいいのに。 そしたら、朝になったら頭の天辺の巣からキミの寝ている枕元までおりてきて耳元で優しく鳴いて起こせるのに。 何回も何回も耳元で優しく鳴いて起こせるのに。 でも終いに起きひんかったら、頭ケガしいひん位の強さでくちばして突っついて起こしてるわ、きっと!  いつも朝のショートホームルームが終わったら机の中に常備されている(!?)ブラシと寝ぐせ直しのミストを持って、教室を飛び出してトイレに直行する。 爆発した寝ぐせを直して1時間目が始まるチャイムが鳴るちょっと前に席に必ず戻ってくるキミ。頭の天辺にあった巣はなくなっていて、キレイな少しクセのあるフワッとしたパーマっ毛に戻っている。 そして、ワタシは席に戻ってきたキミに右肩を軽く指で突っついて、いつもこう声を掛ける。 「今日もむっちゃキレイに寝ぐせ直ってるやん。」と。 前を向いているキミは、少し右に首をひねって気持ちワタシの方を向いて、いつもこう答える。 『そうやろ?今日もバッチリバチバチの仙人やろ?』 でも、今日はいつもと違った。 いつもの答えのあと『今日はボクの髪の毛ちょっと触ってみいひん?』と。 「えっ?」 と驚くワタシにチャイムが気になるキミが 『どうする?』 と少し急かす。ワタシは少し考えて 「じゃぁ…ちょっとだけ。」 いつも気になる天辺の髪の毛に右手を軽く差し込んで触ってみる。 そして、(明日少しだけ余裕を持って起きれます様に…)と心の中で祈って人差し指でキミの頭皮を突っついてみる。 そして、髪の毛からゆっくり右手を離すと1時間目が始まるチャイムが鳴った。 何か言いたげなキミは渋々前を向く。 (終わり)
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