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「いいえ、神殿巫女は王妃の座に座るのです。
あなたは神殿巫女ですから」
<王妃の座>
その予想だにしない言葉に、イリスは自分の口に手をあてた。
自分の心臓が、飛び出してきそうだったからだ。
サキュバスに<真実の愛>を告白するものはいない、そう思って生きてきた。
シオンは左手の薬指にはめていた、銀の指輪をはずした。
「これをあなたに。王の紋章であるサトウカエデの刻印があります」
その間も、
つるは神殿の床を埋めるように、伸びて繁り、次々と花を咲かせていく。
「王妃の座に、あなたが座るのなら、婚姻の儀式を、誓いのキスを・・」
イリスは目を見開いたまま、催眠術にかかったように、動けない。
シオンの大きな手が、イリスの肩を引き寄せた。
そのままイリスの唇が、シオンの唇に触れた。
次の瞬間、
シオンの手がイリスの頭を押さえて、強く舌を絡めてきた。
え・・・・甘い・・・・
それは、ずいぶん長い時のように思えた。
イリスの体から力が抜けていくと、ふと、手が緩んだ。
「なんだよー、キス、すげーぇ、うめーじゃん」
イリスが顔を上気させ、うめいた。
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