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イリスの牙が完璧に折られ、ポイッと投げられた・・ように見えた。
「古代、神殿では聖娼と言って、サキュバスを神聖な巫女としてみなしていたのです。
オトコの精気とオンナの精気が混じりあい、生命が産まれ大地に豊穣をもたらす。」
シオンはかごの中にある、果実を手に取った。
「もし、あなたが邪悪な存在なら、結界に阻まれてここまで来ることはできなかったはずです。
あなたが今、ここにいるという事は、神殿巫女としての何かが、
あるのでしょう。」
神殿巫女・・って
シオンは、微笑んだように見えた。
「それだけではない、あなたとアクア殿は、このフェアリー領に、新しい活力を生み出した。
それも、巫女の豊穣の力ではないですか。
そう私は、思っています」
「あの・・じゃぁ、許可を・・」
イリスは大分勢いが抜けていたが、何とか最後のダメ押しをした。
「それは、できません。神殿の絹、繭は聖別されたものなので」
そう言って、シオンは立ち上がった。
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