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それは、どこまでも続き、迷路のようで、イリスは葉や茎を、かき分けて進むしかなかった。
「何なのよぉ、まったく」
からみついた茎や葉をちぎるように取ると、白の粘液がしみだしてべたべたとくっついてくる。
畑の脇道にやっと出られた時は、べとべとの泥だらけで相当にへたばっていた。
脇道を進むと、目印の岩が見えて、なんとか神殿の玄関にたどりついた。
「開けてぇ・・・」
そばかすの少年が、前のようにわずかに扉を開けた。
イリスの顔を見ると、ぎょっとしたような顔をした。
「お水・・ちょうだい・・」
イリスは、なんとか声を出した。
「井戸はその裏にありますが、シオン様の許可を」
少年は顔をゆがめて、すぐに扉を閉めた。
イリスは喉が渇いていたので、そのまま裏の井戸に向かった。
なんか、腕と顔と足がかゆい・・
水をくんで、喉を潤すと井戸端に座り込み、
それから、顔や腕にくっついた葉っぱをはがしはじめた。
なんだろう、ヒリヒリするけど・・イリスは自分が来た畑のほうを見た。
「イリス・・あなたは!!」
バケツを持った少年と、シオンが神殿から走ってくる。
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