突撃事件

3/5
前へ
/45ページ
次へ
「あの、畑の葉や茎に触ったのですね」 イリスの金と青の瞳が鋭く、とがめるように見えた。 バシャーーーン 少年はバケツの水を、イリスにぶっかけた。 「何・・すんだよぉ・・」 立とうとしたが、腰が立たない。 力が入らずに、へなへなと崩れてしまった。 「あれは毒でかぶれるのです。すぐに触ったところを洗い流さないと!!」 「へ・・・・?」 イリスの手首を引っ張って、井戸のそばに座らせた。 少年とシオンは、交代で水を頭からぶっかける。 イリスは、びしょぬれの黒猫のようになさけない姿になった。 「すぐに、かぶれ止めの薬を塗りましょう」 シオンは早口で言い、イリスの腕をひっぱり、神殿の小部屋に連れ込んだ。 「水を拭いてください。私は薬を準備しますから」 シオンは、びしょぬれのイリスを椅子に座らせ、大きな布を渡した。 「これで、拭いて、そうですね、何か着替える物を持ってきましょう」 「カーチャ、薬の壺と私のローブをお願いします」 カーチャと呼ばれた少年は、すぐに立ち去った。 イリスは震えが止まらない。 少年が、薬壺を持って来た。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加