0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、畑の葉や茎に触ったのですね」
イリスの金と青の瞳が鋭く、とがめるように見えた。
バシャーーーン
少年はバケツの水を、イリスにぶっかけた。
「何・・すんだよぉ・・」
立とうとしたが、腰が立たない。
力が入らずに、へなへなと崩れてしまった。
「あれは毒でかぶれるのです。すぐに触ったところを洗い流さないと!!」
「へ・・・・?」
イリスの手首を引っ張って、井戸のそばに座らせた。
少年とシオンは、交代で水を頭からぶっかける。
イリスは、びしょぬれの黒猫のようになさけない姿になった。
「すぐに、かぶれ止めの薬を塗りましょう」
シオンは早口で言い、イリスの腕をひっぱり、神殿の小部屋に連れ込んだ。
「水を拭いてください。私は薬を準備しますから」
シオンは、びしょぬれのイリスを椅子に座らせ、大きな布を渡した。
「これで、拭いて、そうですね、何か着替える物を持ってきましょう」
「カーチャ、薬の壺と私のローブをお願いします」
カーチャと呼ばれた少年は、すぐに立ち去った。
イリスは震えが止まらない。
少年が、薬壺を持って来た。
最初のコメントを投稿しよう!