0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、顔も腫れてきていますね。」
シオンは薬壺から、どろりとした軟膏を指ですくいとった。
そして、イリスのあごに手をかけて、顔の腫れ具合を確認している。
「目をつぶってください。まぶたも腫れがひどくなるから」
目をつぶり、イリスはぺたぺたと軟膏を顔に塗りたくられるまま、じっとしていた。
「かゆい・・ピリピリする」
その軟膏はハーブの強い匂いがする。
「がまんしてください」
「寒い・・・」
イリスは自分の肩を抱くように、ガタガタ震えはじめた。
少年がローブを持って、ドアの所で立っている。
「シオン様ので・・いいですか」
シオンは少年をチラッと見ると、ローブを渡すように合図をした。
「カーチャ、お湯をわかしなさい。薬湯をつくりますから」
少年はうなずいて、すぐに姿を消した。
「イリス、これに着替えてください。その後、体を温めるよう、薬湯を準備します」
イリスのひざにローブを置いて、シオンも出て行った。
なんか、フラフラする・・
それでも、びしょぬれで体に張り付いた服を、何とか脱ぐと、渡されたローブを羽織った。
目を開けているのがつらい・・・・イリスは目を閉じた。
痛み、かゆみ、寒気が同時に襲いかかってくる。
そのまま、机につっぷしてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!