突撃事件

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「ああ、顔も腫れてきていますね。」 シオンは薬壺から、どろりとした軟膏を指ですくいとった。 そして、イリスのあごに手をかけて、顔の腫れ具合を確認している。 「目をつぶってください。まぶたも腫れがひどくなるから」 目をつぶり、イリスはぺたぺたと軟膏を顔に塗りたくられるまま、じっとしていた。 「かゆい・・ピリピリする」 その軟膏はハーブの強い匂いがする。 「がまんしてください」 「寒い・・・」 イリスは自分の肩を抱くように、ガタガタ震えはじめた。 少年がローブを持って、ドアの所で立っている。 「シオン様ので・・いいですか」 シオンは少年をチラッと見ると、ローブを渡すように合図をした。 「カーチャ、お湯をわかしなさい。薬湯をつくりますから」 少年はうなずいて、すぐに姿を消した。 「イリス、これに着替えてください。その後、体を温めるよう、薬湯を準備します」 イリスのひざにローブを置いて、シオンも出て行った。 なんか、フラフラする・・ それでも、びしょぬれで体に張り付いた服を、何とか脱ぐと、渡されたローブを羽織った。 目を開けているのがつらい・・・・イリスは目を閉じた。 痛み、かゆみ、寒気が同時に襲いかかってくる。 そのまま、机につっぷしてしまった。
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