0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、目が覚めましたね、良かった。
体がすごく冷たくなっていて、震えが止まらないようなので心配しました」
シオンはイリスの顔を覗き込み、その額に手をやった。
次に、金に深い緑の混ざる瞳は・・不思議そうに細められた。
「それが、あなたの本来の姿?」
グゲッ
イリスは起きようとしたが、シオンに両肩を押さえこまれて、倒れこんだ。
その肩は小さく華奢で、10才ほどの少女のようだ。
「なぜ・・そのような姿になるのですか?」
「うぐぐぐぐぐぐ・・・・」
イリスはこぶしを握って、自分の目にあてた。
シオンの、不思議な物を見るような視線が怖い、と思ったからだ。
やっちまった。
自分の弱点を知られた。
魔族は他人に、自分の弱点を知られるのをとても恐れる。
「疲れて体調が悪かったり、酒を飲みすぎたり、精気が足らない状態が続くとこうなる・・」
イリスは虚勢をはるように、しかし、最後はかぼそい声になった。
シオンはベッドから起き上がり、テーブルの水差しから、液体をガラスのコップに注いだ。
最初のコメントを投稿しよう!