0人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、それより・・・・
「ねぇ、パパ、あたし、これも欲しい」
イリスはおねだり視線で、シオンを見上げた。
シオンの金の瞳が一瞬細くなり、動揺しているのがわかった。
「パパぁ、うさぎちゃんほしい。」
少し、だだをこねる感じで言ってみた。
「そ、それではそれも一緒にお願いします」
シオンは、あくまでも平静を装っているが、口に手をあてて、いきなりのパパ呼びに困っているのがわかる。
イリスはサンダルを履き、かごを手に持つと、支払いをしているシオンの上着の裾を引っ張り
「パパぁ、次はケーキ屋さんだよぉ」
わざと口を尖らせて言った。
それから、店のお姉さんにむかって
「今日はパパとデートなの。ママはね、おうちで赤ちゃんと一緒なんだよ。
だからね、ケーキをお土産にするの」
その説明の言葉を聞いて、シオンは複雑な、なんとも言えない表情をした。
「そうなの。パパとのデート、楽しんでね」
そうお姉さんに言われて、おしゃまな娘を演じる楽しさに、イリスはニンマリしていた。
最初のコメントを投稿しよう!