イリスのパパ

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イリスのねぐらは、魔族領の中心地、繁華街を少しはずれた場所の共同住宅にあった。 部屋は、たくさんの服と、たばこの吸い殻、雑誌で乱雑に散らばり、床には化粧品や酒瓶が転がっている ただ寝るだけに帰る場所・・だった。 「この上だから・・・・今日はありがとうございます」 玄関脇で、イリスは、オトナ対応でしっかり頭を下げた。 「今日の服は、アクア殿に渡してもらえば大丈夫です。あと、これを」 シオンは、ケーキの小さな箱を渡してから 「それから、もう神殿には来ないでください。 繭や絹の話は、何度来られても、答えは同じですから」 シオンは、いつものように表情を変えず、淡々と言った。 「それでは、失礼します」 軽く帽子に手をやり、背中をむけて、足早に歩いて行く。 少し先に空き地があるから、そこから飛ぶのだろう。 ああ・・・ イリスの首にある花が、みるみる枯れていく。 イリスは、ウサギの入ったかごを胸に抱いて、泣きそうな声でつぶやいた。 「パパ、おいて行かないでよ・・」 その後、部屋に戻ったイリスは、浴びるように酒を飲み、ベッドで泥のように眠った。
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