進撃のイリス

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進撃のイリス

3回目の訪問は、迷わず、神殿の前の岩の隙間をくぐり抜けたので、イリスは胸をなでおろした。 イリスは、もともと、方向音痴なのだ。 魔族の長距離飛行訓練でも、アラゴンはすぐに地形を把握して、最短距離で飛ぶが、イリスは迷子になり、モタモタして最下位だった。 首位のアラゴンからはバカにされ、プライドが傷ついた悔しい過去がある。 この岩の隙間は、神殿の結界。 邪悪なものは通れないはず。 確か、神殿巫女って、言っていたな。 イリスは、神殿の玄関脇のベンチに座った。 自分の落ち込んでいる姿を、あのカーチャというガキには見られたくない、 あくまで今日の訪問は、お礼という目的なのだ。 10分ほどすると、畑からカーチャとシオンが連れ立って歩いてくるのが見えた。 イリスは立ち上がり、頭を下げた。 「その、迷惑をかけたから、あと、絹の情報のお礼をかねて・・・これを、はちみつ酒です」 イリスは、しおらしい感じでかごを差し出した。 「そうですか・・・」 シオンは静かに言い、隣でかごを持っているカーチャに目配せをした。 「今日はもう帰りなさい。薬草の仕分けは私がやっておきます」 カーチャはうなずいて、岩の方に走っていった。
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